著者は縄文時代を舞台にした作品を描いている漫画家。少し古い本だが、乳がん検査から告知、手術、放射線治療、ホルモン療法までの一年間が具体的に描かれていて、今でも有益だろう。乳がんは患者数が多いだけに情報も錯綜し、自分がどの説明に当てはまるのか分かりにくくなっている。迷える患者にとっての最初の一冊としてお勧めする。
みなさん、こんにちは。店員の山田です。 今回紹介するのは、まんがで書かれた闘病記の2冊目「おっぱいがたいへん!!」です。いかにもまんがの闘病記という感じのタイトルですね。漫画家が本職であるさかいさんが、乳がんに罹患し、その治療の様子をまんがにしたのが本書です。
本書を読んでまず感じたのは、ものすごくリアルに描いているということ。リアルといってもまんがなので生々しさはないのですが、だからこそ、手術後のおっぱいの様子を細かく説明するなど、文章でも写真でも難しい描写が無理なく盛り込まれています。
それに体験者ならではの着眼点というか、普通のドキュメンタリーなら見過ごされそうな細かい描写もたくさんあります。例えばT字帯の使い方が判らなかったとか、そんな些細な事です。さらには、手術のための入院前日に変な夢(イカを買いに行く夢)を見た、なんてことも書いてあります。
そんな描写に何の意味があるのかと言われれば、一つ一つには、おそらく深い意味はないでしょう。しかし、やっぱりこういった描写は必要です。いや、必要か不要かではなく、さかいさんはすべてをあるがままに伝えてくれているんだし、だったらそれをそのまま読みたいと思います。
本書はまんがですが、要所要所に文章の解説ページもあり、意外と読み応えがあります。また、読み終わる頃には乳がんの治療について一通り勉強できるようになっています。闘病記としてだけでなく、教科書としても読める本です。