『未来道場2025 in 松山』開催報告

「未来の在宅医療2040年への挑戦」
これからの在宅医療を共に創る
主催:愛媛県松山市の医療法人
「ゆうの森」
2025年9月13日・14日の2日間、愛媛県松山市で「今すぐ役立つ!在宅医療 未来道場2025 in 松山」が開催されました。主催は、地域に根ざした在宅医療を実践する医療法人「ゆうの森」。今年で7回目を迎える本イベントには、医師や看護師、リハビリ専門職、介護職など、地域や職種を越えた100名以上が参加し、「未来の在宅医療2040年への挑戦」をテーマに熱い議論が交わされました。
「いまみら2025 in 松山」リポート(pdf /16ページ)
看取りの質を高めるための“対話”とは

初日のセッションでは、「看取りの質を高めるコミュニケーション」をテーマに、たんぽぽクリニックの理学療法士・村上茂雄氏が登壇。終末期がん患者との関わり方や言葉のかけ方の大切さが共有されました。
参加者は8名ずつ2班に分かれてブレインストーミングを行い、「症状緩和」「看取りチームの団結力」といった多様な意見が出されました。改めて、“寄り添う言葉”が看取りの質を左右するという認識が深まりました。
「食べたい」に応える――Kanauプロジェクト
続いて行われたのは、患者の「食べたい」を叶えるためのKanauプロジェクトのセッションです。たんぽぽクリニックの調理師・西村健太郎氏の指導のもと、嚥下食の種類や工夫を学び、トロミ付き飲料や嚥下食の試食体験を通して味や食感を確認しました。
参加者たちはワークショップ形式で具体的なアイデアを出し合い、“生きる力”を支える食支援の可能性について考えを深めました。

AIが変える在宅医療の現場

在宅医療の未来像を語る上で欠かせないのがテクノロジーです。サイボウズ株式会社の三浦秀寛氏によるセッションでは、AI技術を活用した業務効率化の事例が紹介され、参加者は「Kintone」を使って業務アプリの作成体験に挑戦しました。
AIによる予測では、2040年には「家」が医療の主戦場になるとされており、今後の在宅医療の在り方を考えるヒントが提示されました。
2040年を見据えた課題と希望
最終セッションでは、「人材確保」「看取りの質の向上」「AIの活用」など、2040年問題に関わる6つの課題が提示され、活発な意見交換が行われました。地域の医療現場を支えるための具体的なアイデアが次々と提案され、参加者たちは日本の医療の未来への確かな希望を胸に会場を後にしました。
「未来道場」は、“いま”の現場に根ざしながら、“これから”の在宅医療を考える場です。現場の声と知恵を持ち寄り、患者と家族が最期までその人らしく生きられる社会をどうつくるか――その挑戦は、すでに始まっています。
