星野史雄のパラメディカWeb書店

余命半年から生きてます!
面白いほど不運な男の笑う闘病記

  • 著者
  • :相河ラズ
  • 出版社
  • : 幻冬舎
  • 発行年
  • : 2012年

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星野店主の書評

 皆さん、こんにちは。店員のあきひです。

今回ご紹介するのは、相河ラズさんの上咽頭がんの闘病記です。
相河さんは、サラリーマンとして関西に単身赴任中の2005年12月に、ステージⅣの上咽頭がんと告知されました。4か月に渡る放射線と抗がん剤の治療を受け、会社に復帰します。この時の治療がとても細かく描写されていて、治療の厳しさ、副作用の大変さを知ることができます。

ところが、2年半後に再発、さらに2年後に再々発し、余命半年を宣告されます。 相河さんはこの宣告から2年10か月後に人生の幕を閉じましたが、この闘病記の凄いところは、余命宣告で、自分の生命がままならない時に、人生が一変してしまったことでした。

それは、関東で離れて暮らしていた奥様が倒れて、記憶を失うという事態が起き入院。後に奥様は統合失調症と診断されて治療が必要になりました。 常に誰かのサポートが必要な学習障がい児だったご子息の面倒を見るために相河さんは仕事を辞め、関東の自宅に戻り奥様とご子息を支える生活に入られたのです。

相河さんは余命宣告後、3か月の抗がん剤治療をしましたが、それを最後にその後は治療をせず、主夫として家族を支える日々を送られました。

がん患者としてはあり得ない!けれど、深刻さを通り越して、「あしたも、口角あげて、生きまっしょい!」と生き切った相河さんの物語ををご一読いただければ幸いです。

 相河さんが旅立たれた後に残された奥様とご子息が穏やかな日々を過ごされていますように願っています。