がん語らいの交差点 わたしのがんカフェ

星野史雄のパラメディカWeb書店

破ガン一笑 笑いはガンの予防薬

  • 著者
  • :南けんじ
  • 出版社
  • :主婦の友社
  • 発行年
  • :1997年

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星野店主の書評

著者の南けんじさんは芸歴50年を越える漫談家である。平成4年、68歳の時に大腸がんが見つかった。 国立がんセンターで手術を受けることになるが、なったものはしょうが無い、くよくよしたって始まらないと腹をくくった。芸人としてどこまでガンを笑いにできるか、ガンと楽しく暮らせるかと挑戦した日々を綴ったのがこの本である。南さんは小話と思って読んで欲しいと言っている。私の笑いのツボの基準だが、2ページに1回は笑いのネタが仕込まれている。 南さんは退院後10日も経たないうちに舞台に立ち、2年後、肺に転移するも入退院を繰り返しながら自身のガンをネタに寄席に出演し続けた。 また、ガンだからといって家に閉じこもらずに、医者のいいつけを守りながら、競馬を楽しみ、人に会い、程々にお酒をたしなんだ。病院も楽しんでガンと暮らした。 私自身、抗がん剤治療中に副作用で髪の毛が抜けた時は出掛けるのが嫌だった。担当医に「人に会うのは気が重くて...」と相談したところ、「閉じこもっている人より外に出て行く人の方が予後が良いのですよ」とアドバイスを貰った。その後、カツラを付けて子どもの学校の面談などに行ったり、外出する機会が増え、日常を楽しむことが出来た。 南さんが、ガンになっても外に眼を向けて普段通りに過ごしていたことも多くの皆さんにお届けしたい。 本の後半には「生きがい療法」で知られた伊丹仁朗医師との対談が載っている。”笑い”の持つ力について、伊丹医師の専門的な話と漫談家南けんじの人生経験から紡ぎ出された話が免疫力UPに役立つだろう。