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星野史雄のパラメディカWeb書店

笑うオカン戦士 闘病2000日

  • 著者
  • :溝渕佳美
  • 出版社
  • :ぴあ
  • 発行年
  • :2011年

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星野店主の書評

著者の溝渕佳美(カミ)さんは元毎日放送の女性ディレクター。33歳の時に悪性リンパ腫の一種・セザリー症候群と診断され、38歳で旅立った。この本は愛娘こなつちゃんとの交換日記等を元に友人らの手によってまとめられた一冊である。 当初、カミさんはアトピーだと思って入院治療をしていたが、一向に良くならず精密検査をしたところセザリー症候群と判明する。 耳慣れないセザリー症候群という病気は、皮膚が火傷のように赤く硬くなったり、皮膚が剥がれ落ちるなどの症状が出るらしい。また、免疫不全を起こして命に関わるこの病は、当時(2008年)は症例も少なく治療法も確立していなかった。 カミさんの場合、抗がん剤治療が行われたが、それだけでは病状をコントロールできず、2回の骨髄移植も行われた。移植は成功したものの結局は再発してしまった。 その辺の大変な検査や治療の様子を、巧みな関西弁で綴り、ギャグやボケ、ツッコミが満載。深刻になり過ぎずに読めてしまう。 病気発覚当時まだ3歳だったこなつちゃんとのやり取りもユーモラスで微笑ましい。また、母を気遣う健気なこなつちゃんにはつい涙腺が緩む。 私がガンになった時、子供は高校生だったので心配はそれほどでも無かったが、カミさんはこなつちゃんのことが最後まで気がかりだったと思う。 カミさんが亡くなった時こなつちゃんは小学生になっていた。 強い心で戦い抜いた母と 【こ】こころやさしく【な】ながされず【つ】つよく の願いを込められた少女と 二人を支えた人々のことを心に留めていただけたら幸いである。