2005年、13歳年上の夫がいきなり悪性リンパ腫と診断される。ステージはⅢ。後の検査でステージは更に悪いⅣに。脾臓と骨髄にも転移、腎臓も巻き込んでいたため、すぐに抗がん剤治療が始まる。その副作用で夫の頭はツルツルに、治療費が100万円という噂に動揺するなどの半年間を妻の立場から綴る。
皆さん、こんにちは。
今回は、悪性リンパ腫を患ったご主人を支えた妻・日野あかねさんの闘病記です。細かいことにこだわらず、気楽にのほほんと生きてきたご主人・カオルさんは会社の健康診断で異常が見つかり、検査の結果、悪性リンパ腫と判明します。
悪性リンパ腫については、あまりよくわからない、イメージが浮かばないという人が多いのではないでしょうか。悪性リンパ腫は、有名な白血病と同じ「血液のがん」のひとつ。胃がんや肺がんといった「固形がん」とは区別されるがんです。なぜ区別されるかというと、血液のがんは基本的に手術ができないという特徴があるからです。
固形がんでは、基本的に手術が治療の第一選択肢であり、手術ができればそれに越したことはない、できなければ抗がん剤や放射線で、となります。しかし、血液のがんは最初から手術という選択肢がないのですから大変です。といっても、最近では良い薬がたくさん開発されたため、悪性リンパ腫の治療成績は非常に良くなっています。悪性リンパ腫はさらに色々なタイプに分類できるため一概には言えませんが、治るがんになってきているといえます。
さて、悪性リンパ腫が判明したカオルさんは、抗がん剤治療に臨みます。もちろん、あかねさんが彼を支えていきます。本書は、がんの発覚から長い抗がん剤治療が終わるまでの描写が中心となっています。
抗がん剤といえば脱毛に吐き気。カオルさんもこれに悩まされます。しかし、持ち前の強さ、ではなくて、のほほんとした気楽さでそれを乗り越えていきます。本書は絵柄もとても穏やかな、のほほんとしたものとなっていて、深刻な場面もあまり暗い気持ちにならないで読むことができます。
がん治療ではいろいろなことを深刻に考え、悩んでしまう人より、気楽に治療をした人のほうが予後が良い(治療の効果があり良好な状態になる)という調査結果があります。一般的には気楽でいることで体内の免疫が活性化するため、と言われていますが、がん治療で極めて重要な食事の面でも、気楽な人のほうが食欲を維持して食べ続けることができるため、予後にいい影響があるのではないかと思います。
カオルさんもまさにそれを地で行く人で、なにごとも気楽に構え、そして食べることにも熱心でした。この姿勢は多くの人に参考になると思います。また、こういった闘病記まんがでは解説ページが挟んであったりするものですが、本書ではカオルさんのインタビュー記事が載っています。これもヘタな解説よりもずっと役に立ちます。